アンティークコインの進化|ハンマー打ちから機械鋳造へ
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2つの時代を分けるコイン製造技術の物語をご紹介します。
アンティークコインの魅力は、その美しさや歴史的背景だけではありません。実は、「どうやって作られたか」も大きな魅力のひとつです。今回は、古代から続いた「ハンマー・コイン(手作業)」と、近代への扉を開いた「機械鋳造」の違いにスポットを当ててみました。
■ハンマー・コイン(~1660年代)
1枚1枚ハンマーで打って作られたコインで、2つの金型で挟み上からハンマーで打ち付けたコインです。
・工程:金属の板を2つの金型で挟み、上からハンマーで打ち付けたコイン
・特徴:形が不揃い、模様がズレる、刻印の深さにバラツキが出る
・課題:偽造されやすい
■機械鋳造(1660年代~)
17世紀中頃からヨーロッパで広がり始めた機械鋳造技術で作られたコインです。
・工程:プレスなどの機械鋳造
・特徴:形が均一、デザインが精密で美しい、偽造されにくい
特徴を以下の表にまとめてみました。
2つの製造方法に優劣はありません。
ハンマー・コインには、1枚1枚に「人の手の温もり」や「個性」を感じられるのが特徴です。
機械鋳造には、肖像や紋章の美しさが細部まで表現されています。
コインは「お金」である前に、「時代を写す鏡」でもあります。ハンマー時代の荒々しさと、機械時代の洗練された美しさ。どちらの時代にも、それぞれの魅力があります。
スラブに記載された年号で製造方法が推測できると思います。製造方法の知識を持ってコインを観察するのも楽しいですよ。
アンティークコインを手に取るときは、ぜひその製造背景にも思いを馳せてみてください。
アンティークコインのご相談などありましたら下記までどうぞ